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AI 検索エンジン広告の全体図 - ChatGPT 、 Perplexity 、 Gemini 、 Copilot を比較

ChatGPT 、 Perplexity 、 Gemini 、 Copilot など主要6社の AI 検索エンジン広告を横断比較。各社の導入状況・撤退理由・日本での出稿可否を2026年7月時点の情報で整理する。

鈴木凌介 (Ryosuke Suzuki)
約10,708文字約22分
AI検索エンジン広告の全体図 - ChatGPT、Perplexity、Gemini、Copilotを比較

主要6プラットフォームの広告スタンスを横断比較すると、2026年前半に明確な分水嶺が見える。 OpenAI ( ChatGPT )と Google ( AI Overviews / AI Mode )は広告統合を積極的に推進する一方、 Perplexity は広告事業から全面撤退し、 Anthropic ( Claude )は広告非採用を公言する。「なぜ分かれたのか」「日本の広告主は今どこに注目すべきか」を、経営ロジックの違いから読み解く。


AI 検索エンジン広告とは何か。従来のリスティング広告との違い

AI 検索エンジン広告とは、対話型 AI の回答フローの中に「 Sponsored 」等のラベル付きで挿入される広告枠の総称である。従来のリスティング広告が検索結果の"一覧ページ"に並ぶのに対し、 AI 検索広告は AI が生成した回答そのものの近くに表示される。ユーザーが触れるのは検索結果のリンクではなく「 AI 生成による回答」であり、広告はその回答の一部として扱われる。

リスティング広告の世界では、広告主はキーワード単位で入札し、ユーザーの検索意図を捉えることで成果を得てきた。 AI 検索広告の場合、ユーザーの質問は自然言語であり、同一の意図でも表現のゆらぎが大きい。 AI がその意図を解釈して回答を生成するプロセスの中で、広告もまた会話の流れにマッチする形で提示される。入札の単位がキーワードから「会話の流れ」へ移行しつつある、と表現すれば実態に近いだろう。

では、この違いは広告主にとって何を変えるのか。

最大の変化は「1回の表示あたりの注目度が高い」点である。リスティング広告はオーガニック結果と並列に表示されるため、ユーザーの視線は分散する。 AI 検索広告は回答が1つしかない画面の中に配置されるため、表示されたときの占有率が高い。ただし、ユーザーが「 AI の回答に広告が混ざっている」と感じた瞬間に信頼が揺らぐリスクも大きい。この「高い注目度」と「信頼毀損のリスク」の二面性が、各社の広告スタンスを分ける根幹の力学になっている。


各プラットフォームの広告スタンス一覧(比較表)

2026年7月時点で確認されている主要6プラットフォームの広告スタンスを以下に整理した。各社の方針は変化しうるため、確認時点を併記している。

プラットフォーム広告の状態日本の広告主の出稿可否主な収益モデル確認時点
ChatGPT ( OpenAI )パイロット運用中可(国内代理店3社経由)ハイブリッド(サブスク+広告)2026年6月
Perplexity全面撤退不可サブスク特化2026年2月
Gemini アプリ( Google )未導入(導入に「オープン」と発言)不可サブスク+ Google One 連携2026年4月
AI Overviews / AI Mode ( Google 検索)上部・下部枠は全市場で配信中、内部枠は英語圏12カ国可(上部・下部枠のみ。内部枠は日本語・日本が対象外)既存 Google 広告の延長2026年7月
Copilot ( Microsoft )Conversational Ads 配信中可( Microsoft Advertising 経由)ハイブリッド(広告+サブスク)2026年7月
Grok ( xAI )X 広告との統合が進行限定的広告+ Premium 連携2026年7月

日本の広告主が今すぐ関われるのは ChatGPT 、 Copilot 、そして Google AI Overviews の3つだ。ただし Google は性格が異なる。既存の検索・ショッピング・ P-MAX キャンペーンが AI 概要の上部・下部に自動的に配信される仕組みで、日本もその対象に含まれている。つまり「これから検討する」のではなく、気づかないうちにすでに出稿しているという状態に近い。残る3サービスは出稿の選択肢にならない。これが2026年7月時点の実態である。


OpenAI が赤字の中で ChatGPT 広告に踏み切った理由

OpenAI が広告事業に本腰を入れた最大の理由は、ファイナンス上の問題だ。GIGAZINE の報道によれば、2025年の純損失は約385億ドルに達した(一時的な評価損約300億ドルを除いても実質約80億ドル)。サブスクリプション収入だけでは GPU コストを吸収しきれない構図だ。

広告はその突破口として位置づけられている。同じく GIGAZINE にある投資家向けの予測では、2026年の広告収益は約25億ドル(約4,000億円)、2030年には約1,000億ドル(約16兆円)に到達するとの見通しだ。そうなれば、 OpenAI の収益構造をサブスク一本から脱することができる。

もっとも、疑問もある。パイロットでの ChatGPT 広告だけで2026年に25億ドルを達成できるのか。

母集団そのものは小さくない。OpenAI の2026年2月27日の発表GIGAZINE の報道)によれば、 ChatGPT の週間アクティブユーザーは9億人超、個人向けのサブスク契約者数は5,000万人超である。有料ユーザーの比率は約5.6%にとどまる。しかも月額8ドルの Go プランはこの有料5,000万人に含まれながら広告表示の対象であり、広告が出ないのは Plus 以上の上位プランだけだ。つまり Free 、 Go プランを合わせた広告対象は、ユーザー全体の95%前後を占めている。

制約になるのはプランではなく、配信面の条件のほうである。表示対象は18歳以上のログイン済みユーザーに限られ、配信可能な国も一部だ。健康、メンタルヘルス、政治、規制対象の金融商品といったセンシティブなカテゴリでは配信が制限され、1回のチャットに差し込める広告の数もそもそも多くない(詳細はChatGPT 広告( ChatGPT Ads )とはにまとめている)。95%という広大な母集団を、これらの条件がどこまで実際のインプレッションに変換できるか。前提となるユーザー数の伸びや広告単価が楽観的すぎないかも含め、今後の四半期決算で検証されていく部分である。

いずれにせよ、 OpenAI は「赤字ゆえに広告に踏み切った」のであり、「サブスクが好調だから余裕で広告にも手を広げた」のではない。この順序を押さえておくと、 ChatGPT 広告の今後の展開の背景が読みやすくなる。

ChatGPT Ads による成果はどうか

さて、海外のコニュニティである Reddit では、2026年6月に「 ChatGPT 広告で実際に意味のある成果が出ている人はいるか」というスレッドが立っており、50件近いコメントが集まっている。だが、明確にプラスの成果を報告している投稿はほとんど見当たらない。

Redditのr/PPCに立てられた「ChatGPT広告で実際に意味のある成果が出ている人はいるか」というスレッドのスクリーンショット
Redditのr/PPCに立てられた「ChatGPT広告で実際に意味のある成果が出ている人はいるか」というスレッドのスクリーンショット

投稿によれば、

  1. クリックはされるがコンバージョンに至らない。: 同じ商材・同じランディングページで通常は数百件のリードを取っているユーザーが「 ChatGPT 広告からは1件も出ない」と書き、別のユーザーも「クリックは多いがコンバージョンは1件。むしろ広告を出さずとも ChatGPT 経由の自然流入のほうが取れている」と。
  2. 数字が信用できない。: 管理画面のクリック数が GA4の実測を上回るという指摘に加え、400ドルの消化(平均 CPC 3.5ドル)に対してランディングページのページビューが14,600件、チェックアウト開始が236件と記録されているのに注文はゼロ、という辻褄の合わないレポーティング。
  3. 改善が難しい。: CTR 0.57%・ CPC 4ドルといった数字は見えても、どんな会話に配信されたのか、ポリシーによって配信が絞られているのかがわからず、改善しようがないと。

一方で、ネガティブな意見だけじゃない。 ChatGPT 広告を「ミドルファネルの獲得導線」とし、 Blended MER (広告費に対する全体売上)で評価すべきだという意見も複数ある。 CPM が9週間で60ドルから25ドルへ下がったことを踏まえ、単価が安いうちにテストして知見を貯めておくのが得だ、という判断だ。

我々、日本の広告主にとって最も示唆のあるものは、「高単価商材ではそもそも噛み合わない」という指摘だろう。購買力のある層は ChatGPT の有料プランを使っており、広告が届くのは Free 、 Go プランのユーザーだけだからだ。先に見たとおり Free 、 Go は全体の95%前後をシェアを占めるため量の問題はない、その95%は「まだ月20ドル(3000円程度)を払っていない層」でもある。

とはいえ、これらはあくまで Reddit 上の議論だ。「 ChatGPT 広告に効果がない」と言えるわけではない。まだ、プラクティスが定まっていない新しいチャンネルだからこそ、まだ結果がでていないのは当然でもある。

日本展開の時系列とローンチパートナー

結局のところ、日本の広告主にとっては「いつから」「どうやって」広告を出稿できるのかだ。

日付出来事
2026年2月9日米国でテスト開始( Free ・ Go プラン対象)
2026年3月26日カナダ・豪州・ニュージーランドに拡大
2026年5月7日英国・メキシコ・ブラジル・日本・韓国への拡大を予告
2026年6月18日日本で運用開始

出典:OpenAI 公式「 ChatGPT での広告のテスト」ITmedia AI+

国内ローンチパートナーとして参画が発表されたのは以下の3社である。

advertimes の報道によれば、広告は AI の回答とは視覚的に区別して表示され、回答内容には影響しないとされている。広告運用は ChatGPT Ads Manager と呼ばれる管理画面を通じて行われ、初期のアドテクパートナーとして Criteo との提携も発表された。 CPC 入札や Conversions API を用いた計測環境についても言及されているが、費用感やフォーマット仕様の詳細はパイロット段階のため流動的である。

日本の3大代理店グループがすべて初期パートナーに名を連ねた事実は、 ChatGPT 広告が「海外の実験」ではなく国内広告市場にもアプローチし始めているということだ。


Perplexity はなぜ広告事業から撤退したのか

Perplexity は2024年11月に AI 回答内へのスポンサー付き広告を業界に先駆けて試験的に導入した。だが、2025年後半から段階的に縮小し、2026年2月にFinancial Timesが全面撤退を報じた。「一度始めた広告を自ら辞めた」という意味で、 AI 検索広告業界における最も象徴的な方針転換である。

撤退の理由としてボードメンバーが挙げたのは「ユーザーの信頼を損なう」という一点だった。GIGAZINEは、 Perplexity が自社のアイデンティティを「正確さのビジネス」と位置づけていることを伝えている。回答の中立性に対する疑念が一つでも生じれば、「正確さ」へのユーザーの期待値は崩れる。そのリスクと広告収益を天秤にかけた結果だ。

ファイナンス面の合理性も見逃せない。日本経済新聞の報道によれば、 Perplexity の年間売上は約2億ドル(約310億円)規模で、大半が Perplexity Pro などのサブスクリプションである。ユーザー数は1億人を超えている。広告収入がなくても事業が回る見通しがあった、と推察するのが自然だろう。

The Verge の記事は、 Perplexity が広告契約の再開を現時点で予定していないと伝えている。ただし、将来にわたって方針がどう変わるかは誰にもわからない。広告収益を手放すことが長期的に正解だったかは、 Perplexity のユーザー数と ARPU (ユーザー1人あたり収益)の推移が証明することになる。


Anthropic ( Claude )が広告を「導入しない」と明言する背景

Anthropic は2026年2月4日、 Claude に広告を表示しない方針を正式に表明した。ITmedia NEWSが報じた「 Ads are coming to AI. But not to Claude.」というキャンペーンコピーは、 OpenAI の ChatGPT 広告テスト開始(2月9日)の直前というタイミングを狙い撃ちしたものだった。

収益面では、サブスクリプション( Claude Pro, Max, Teams 等)とエンタープライズ契約に特化する方針が示されている。広告収入がゼロでも事業を回せるだけの資金調達力とエンプラへの注力が背景にある。


Google の「 Gemini 」と「 AI Overviews 、 AI Mode 」は何が違うのか

Google の生成 AI 関連サービスを語る際に最も混同されやすいのが、「 Gemini アプリ」と「 Google 検索の AI Overviews / AI Mode 」の区別である。前者は独立したチャットボットアプリ、後者は Google 検索エンジンの中で動く生成 AI 機能だ。広告の導入状況は両者で大きく異なる。

AI Overviews ・ AI Mode にはすでに広告がある

Google 検索の中で生成 AI が回答を提供する AI Overviews および AI Mode には、すでに複数の広告フォーマットがテスト配信されている。Google 公式ブログGIGAZINE の報道によれば、2026年5月の Google Marketing Live で以下の新フォーマットが発表された。

  • Conversational Discovery ads: AI との対話の中で関連する商品やサービスを提案する
  • Highlighted Answers: AI 回答文中の関連キーワードをハイライトし、広告主のページへ誘導する
  • Direct Offers: 回答に直接オファー(価格・割引情報など)を埋め込む形式

これらは AI Max や Performance Max ( P-MAX )キャンペーンとの連携が前提とされている。既存の Google 広告アカウントを持つ広告主が、既存キャンペーンの延長線上で AI 検索広告にもリーチできる仕組みだ。 ChatGPT や Perplexity が「新しい広告プラットフォーム」を一から構築しなければならなかったのに対し、 Google は既存の広告基盤の上に AI 機能を載せるだけでよい。この構造的な優位性は大きい。

日本の広告主にとって重要なのは、「 AI 概要のどこに出るか」で話が二層に分かれる点である。Google 広告ヘルプは、 AI 概要の上部・下部への広告はこの機能が使える200以上の全地域が対象だと明記している。日本もここに含まれる。既存の検索・ショッピング・ P-MAX ・アプリキャンペーンが、広告主側の設定を必要とせずこの枠へ配信される。

一方、 AI 概要の内部に差し込まれる広告は、オーストラリア、カナダ、インド、インドネシア、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、米国の12カ国・英語のみに限られており、日本語・日本は対象外である(2026年7月時点)。冒頭の比較表で日本の出稿可否を「上部・下部枠のみ」としたのは、この区分による。上で挙げた Conversational Discovery ads や Direct Offers といった AI Mode 固有のフォーマットも米国を中心としたテスト段階にあり、日本向けの提供時期は公表されていない。

さらに押さえておきたいのは、上下枠が広告主から見て「選べない」ことだ。同ヘルプは、 AI 概要のみをターゲットに設定することも、 AI 概要を配信対象から除外することもできず、セグメント別レポートで切り出すこともできないと明記している。日本の広告主の多くはすでに AI 概要枠へ広告を出しているが、それを認識も制御も計測もできていない、というのが実態である。なお、アダルト、アルコール、ギャンブル、金融、ヘルスケア、政治といったデリケートなカテゴリでは、 AI 概要内に広告は表示されない。

Gemini アプリへの広告導入はまだ正式ではない

一方、独立したチャットボットである Gemini アプリ自体には、2026年7月時点で広告は正式導入されていない。ITmedia NEWSが報じた2026年4月30日の Q1決算会見では、 CBO の Philipp Schindler 氏が Gemini への広告導入について「オープンな姿勢」を示したにとどまる。

HelenTechによれば、 Gemini アプリの MAU (月間アクティブユーザー数)は9億5,000万人に到達している。Alphabet Q2 2026決算資料でも広告収入全体は堅調であり、 Gemini への広告導入を急ぐ財務的プレッシャーは相対的に小さいと考えられる。正式導入の時期は、続報を待つしかない。


Microsoft Copilot の広告はどこまで進んでいるか

Microsoft Copilot には、 Microsoft Advertising の枠組みを通じた「 Conversational Ads 」がすでに配信されている。 Copilot との対話の中で、 Bing の検索広告と連動する形で広告が表示される仕組みである。

Copilot 広告の位置づけは Bing Search 広告の延長線上にある。既存の Microsoft Advertising アカウントを持つ広告主であれば、新たに別のプラットフォームを契約する必要なく、 Copilot 上の広告枠にもリーチできる。この点は Google AI Overviews / AI Mode の構造と似ている。既存の検索広告基盤を持つ企業が AI 機能の上に広告を重ねる拡張モデルだ。

ただし、日本市場における Copilot の利用規模は ChatGPT や Google 検索と比べると限定的であり、広告のインプレッション量も相応に小さいと推察される。費用感やフォーマット仕様の詳細は Microsoft Advertising の管理画面と公式ドキュメントに依拠するため、詳細は省く。


xAI ( Grok )の広告に対するスタンスと現状

xAI が提供する Grok は、 X (旧 Twitter )の広告との親和性が高いプラットフォームである。 X のタイムライン上で Grok が生成する回答の周辺に広告が表示されるケースがあり、広告には積極的だ。

ただし、日本の広告主が Grok 向けに独立した広告出稿を行える明確な仕組みは、2026年7月時点ではまだ無い。 X 広告アカウント経由での間接的なリーチにとどまり、 ChatGPT や Copilot のように「 AI 検索広告」として独立したチャンネルが確立されているわけではない。


なぜ AI 企業によって広告への姿勢がここまで分かれるのか

AI 企業の広告スタンスの違いは、単なる経営判断のばらつきではない。各社の置かれた構造的な条件の違いから生まれている。大きく3つの要因に分解できる。

要因1: 財務構造の違い

OpenAI は2025年に実質約80億ドルの営業赤字を計上し、 GPU コストの増大に直面している。広告は「あれば嬉しい追加収入」ではなく、事業継続のための必要条件に近い。2030年に広告収益約1,000億ドルという予測が楽観的かどうかはさておき、 OpenAI にとって広告をやらなという選択肢はない。

Google は別だ。2026年4〜6月期の検索広告収入だけで632億7,100万ドルを稼ぐ Alphabet にとって、 AI Overviews や AI Mode への広告は既存事業の延長線であり、切迫されてるわけではない。

Perplexity は年間売上約2億ドルの大半がサブスクリプション収入だ。広告がなくても事業が回る。この余裕が「信頼を守るために広告を手放す」という判断を可能にした。

赤字が深い企業ほど広告に踏み切り、サブスク収益が安定している企業ほど広告に手をつける必要がない。単純だが、そういうことだろう。

要因2: ユーザーからの信頼と品質のトレードオフ

では、財務的な余裕さえあれば広告を入れないのが常に正解なのか。話はそう単純ではない。

AI の生成に広告が混ざると、ユーザーは「この AI は企業に忖度していないか」と疑い始める。このリスクをどう評価するか。

Perplexity が撤退した理由は、「正確さのビジネスにおいて信頼毀損のリスクが広告収益を上回る」という判断だった。 Anthropic はさらに踏み込み、「 AI が考える場に広告を入れること自体が価値を毀損する」という立場を取っている。

OpenAI と Google は「回答と広告を視覚的に分離すれば信頼は担保できる」というアプローチで応じている。 Sponsored を表示するというやり方だ。。どちらの考え方が正しいかを判断するのはユーザーであり、長期的に利用率がどう変わるかだろう。

要因3: ポジショニング

Anthropic がスーパーボウルに推定800万ドルを投じてまで「 Claude には広告がない」と主張したという事実は、「広告を採用しないこと」それ自体が積極的なブランド戦略であることを示している。

市場には ChatGPT という広告付きの巨大プレイヤーが存在する。そこに対して「私たちは広告をやりません」と宣言することで、広告を嫌うユーザー層を獲得できる。プラットフォームの数が限られている現段階では、「広告あり vs 広告なし」ということ自体がユーザーの選択の基準になりうる。

広告主の立場から見ると、これは出稿先が増えないことを意味する。だが同時に、「広告を許容するプラットフォームに集まるユーザーは広告への受容度が相対的に高い」とも解釈できる。市場のセグメンテーションが進むこと自体は、ターゲティングの精度を上げる可能性がある。

結論。赤字だから広告を導入し、広告を入れると信頼のリスクが生まれ、競合はそのリスクを差別化の材料にする。これが各社のスタンスの違いの背景だ。


今すぐ検討できるプラットフォームはどこか

2026年7月時点で実際に出稿を検討できる AI 検索広告の選択肢は、大きく3つ

1. ChatGPT

国内ローンチパートナーである電通デジタル、 Hakuhodo DY ONE 、サイバーエージェントの3社を通じて出稿を検討できる。対象は Free プランと Go プランのユーザーで、 ChatGPT Ads Manager での管理が可能だ。パイロット段階であるため、出稿条件や配信ボリュームには制約がある。

2. Google AI Overviews 、 AI Mode

すでに Google 広告を運用していれば最もハードルが低い。というより、意識しないまますでに配信されている。 AI 概要の上部・下部枠は日本を含む200以上の全地域が対象で、既存の検索・ショッピング・ P-MAX キャンペーンが自動的に AI Overview に含めてくれる。

3. Microsoft Copilot ( Microsoft Advertising 経由)

Microsoft Advertising アカウントを持っていれば Conversational Ads 枠への配信が可能だ。日本での Copilot の利用規模を考えると配信ボリュームは限定的だが、 Bing 検索広告と一元管理できる利便性はある。

残る Perplexity 、 Claude 、 Gemini アプリ本体、 Grok は、現時点では広告出稿先としての選択肢にならない。


広告収益型 vs サブスク型

AI 検索エンジンの収益モデルは、「広告収益型」と「サブスク型」の二つだ。

広告収益型( OpenAI 、 Google 、 Microsoft )は、ユーザーベースの大きさを武器に広告インプレッションを増やしていく方向に進んでいる。特に OpenAI の2030年・広告収益1,000億ドルという予測がその通り進むなら、 AI 検索広告は従来のリスティング広告に匹敵する市場規模に成長する可能性がある。

サブスク型( Perplexity 、 Anthropic )は、「広告がない」こと自体をユーザーへの価値訴求にしている。これが長期的に持続するかは、有料ユーザーの増加ペースと GPU コストの増大のどちらが速いかにかかっている。

Perplexity の撤退が示すとおり、一度導入された広告が取り下げられるケースは現実に起きた。逆に、今は「広告なし」を掲げている企業が将来方針を転換する可能性もゼロではない。


FAQ

AI 検索エンジンの広告は従来のリスティング広告と何が違うのか?

最大の違いは表示される場所と文脈である。リスティング広告は検索結果ページの一覧に並ぶが、 AI 検索広告は AI が生成した回答フローの中に「 Sponsored 」ラベル付きで挿入される。広告マッチングの単位もキーワードではなく会話の流れであり、ユーザーの自然言語による質問意図に基づいて広告が選択される。

ChatGPT 広告は日本でいつから利用できるのか?

2026年6月18日に日本でパイロット運用が開始された(ITmedia AI+)。対象は Free プランと Go プランのユーザーで、国内ローンチパートナーは電通デジタル、 Hakuhodo DY ONE 、サイバーエージェントの3社である。

Perplexity の広告撤退は広告主にどう影響するのか?

Financial Times が2026年2月に報じた全面撤退により、 Perplexity 上での新規広告出稿は不可となった。すでに Perplexity への出稿を検討・実施していた広告主は、 ChatGPT や Google AI Overviews / AI Mode 、 Copilot などへの予算再配分を検討する必要がある。

Google Gemini アプリ自体に広告は表示されるのか?

2026年7月時点で正式導入はされていない。2026年4月30日の Q1決算会見で CBO の Philipp Schindler 氏が「オープンな姿勢」を表明した段階にとどまる(ITmedia NEWS)。正式な導入時期は未定であり、続報を待つ必要がある。

広告主は今どの AI プラットフォームを優先的に検討すべきか?

2026年7月時点で日本の広告主が実際に出稿を検討できるのは、 ChatGPT 、 Google 広告経由の AI Overviews (上部・下部枠は日本も対象で既存キャンペーンから自動配信。内部枠は英語圏12カ国限定で日本は対象外)、 Microsoft Copilot ( Microsoft Advertising 経由)の3つである。自社のターゲットユーザーが日常的に使う AI サービスを起点に、小規模なテストで知見を蓄積していくのが良い。

著者

Unbounded Pioneering株式会社
Timothe AI

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鈴木 凌介 (Ryosuke Suzuki)
鈴木 凌介 (Ryosuke Suzuki)創業者・代表取締役

「Timothe AI」を提供する Unbounded Pioneering株式会社の創業者・代表取締役。機械学習・AIプロダクト開発のエキスパート。大学在学中は研究室にて機械学習の研究に従事。その後、株式会社プレイド・楽天・リクルートにおいて、ソフトウェアエンジニアとして大規模プロダクトの設計・開発を手がけるとともに、新規事業開発を推進。現在は生成AI・AIプロダクト領域を専門とし、エンジニアリングと事業開発の両面から一貫してプロダクト開発に携わる。ウェブ技術領域における複数の特許を発明。

特許発明者(特許第6887648号・特許第7480958号)・Timothe AI関連技術で特許出願中