EC 市場規模の統計まとめ【2026年版】
日本の EC 市場規模を経済産業省の2024年確定値に基づき整理。 BtoC 26.1兆円・ BtoB 514.4兆円の内訳、 EC 化率、越境 EC 、世界市場での位置づけまで出典付きで解説する。

EC 市場規模の統計まとめ【2026年版】
経済産業省が2025年8月に公表した最新の確定実績(2024年)によると、日本の BtoC-EC 市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、 BtoB-EC は514.4兆円(同10.6%増)である。この一次統計を軸に、分野別・カテゴリー別・越境 EC ・世界市場まで、主要な数字を出典付きで整理する。
2026年公開版。 掲載する数値は、経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日公表)の2024年確定実績に基づく。2025年実績の公式統計は、2026年8月時点で確認できていない。
主要数字の一覧|日本の EC 市場規模(2024年確定値)
日本の電子商取引は、 BtoC ・ BtoB ・ CtoC のいずれも前年を上回った。 BtoB-EC は BtoC の約20倍の取引規模を持ち、 EC 化率も BtoC を大きく上回る。
出典:経済産業省 ニュースリリース(2025年8月26日)、経済産業省 調査報告書 PDF
BtoC-EC の26.1兆円と BtoB-EC の514.4兆円を並べると桁が違いすぎて実感しにくいかもしれない。ただ、企業間受発注は EDI を含む広範な取引を対象とするため、消費者向けの小売 EC とは統計の構造そのものが異なる。両者を単純に足し合わせて「日本の EC 市場は540兆円」と語ることには意味がない。

EC 市場規模と EC 化率の違いとは
EC 市場規模は電子商取引の取引金額そのものを指し、 EC 化率はその取引金額が商取引市場全体に占める割合を示す。両者はしばしば混同されるが、意味するところが異なる。
EC 化率の算出式は以下のとおりである。
EC 化率(%) = EC 取引金額 ÷ 商取引市場規模 × 100
経済産業省の統計では、 EC 化率は物販系 BtoC-ECとBtoB-ECに対して設定されている。サービス系・デジタル系の BtoC-EC には EC 化率が公表されていない。したがって、 BtoC-EC 全体の26.1兆円に9.8%を乗じた数字が物販系の市場規模になるわけではない。「9.8%」はあくまで物販系分野の商取引市場全体に対する EC 取引の比率である。
出典:経済産業省 調査報告書
BtoC-EC 市場規模|物販・サービス・デジタルの3分野比較
BtoC-EC 26.1兆円の内訳は、物販系15兆2,194億円、サービス系8兆2,256億円、デジタル系2兆6,776億円である。物販系が最大分野だが、成長率は3分野中もっとも低い。サービス系が前年比9.43%増で最も高い伸びを見せた。
出典:経済産業省 ニュースリリース、METI 英語版プレスリリース
物販系が6割弱を占める構造は変わっていない。ただ、サービス系の9.43%増は旅行需要の回復と飲食サービスの拡大に支えられたものであり、この勢いが来年も続くかは別の話である。デジタル系は1.02%増にとどまり、成熟市場の様相が強まっている。
物販系分野で最も伸びているカテゴリーは何か
物販系は8カテゴリーに細分化されている。市場規模が最大なのは食品・飲料・酒類(3兆1,163億円)だが、 EC 化率が最も高いのは書籍・映像・音楽ソフト(56.45%)である。「大きい市場」と「 EC が浸透している市場」は一致しない。
出典:METI 英語版プレスリリース Merchandising sector 表、経済産業省 ニュースリリース
上位4カテゴリーはすべて2兆円を超え、物販系市場の大部分を占める。食品が前年比6.36%増と物販系で最も高い成長率を記録したのは、ネットスーパーの浸透が一因と考えられる。一方、書籍・映像・音楽ソフトは前年比マイナスに転じた。 EC 化率56.45%は、デジタルシフトが相当進んだ証拠であると同時に、伸びしろが小さくなっている裏返しでもある。

EC 化率が高いカテゴリー・低いカテゴリーの理由
書籍・映像・音楽ソフトの EC 化率が56.45%に達している理由は明快である。商品がデジタル化と親和性を持ち、タイトルやレビューによる比較が容易で、実物を手に取る必要性が低い。生活家電や PC (43.03%)も同様に、型番やスペックで商品を特定しやすいカテゴリーである。
では、なぜ食品(4.52%)や自動車(4.16%)は低いのか。食品は鮮度管理と配送コストの壁が大きく、消費者が実店舗で「見て選ぶ」行動を手放しにくい。自動車は単価が桁違いに高く、試乗・実車確認という購買プロセスがオンラインでは代替しにくい。 EC 化率の高低は、商品特性と消費者の購買行動の構造に根ざしている。
サービス系 EC の市場規模|旅行サービスが最大
サービス系 EC の中核は旅行サービスで、3兆5,249億円と単独でサービス系全体の4割強を占める。飲食サービスが18.70%増で最も高い成長率を記録した一方、フードデリバリーは7.26%減で唯一の前年割れとなった。
出典:METI 英語版プレスリリース Service sector 表
飲食サービスの18.70%増とフードデリバリーの7.26%減は、同じ「食」の領域で方向が正反対である。外食需要が回復すれば予約系サービスは伸び、宅配の利用頻度は下がる。コロナ禍で急膨張したフードデリバリー市場が需要の正常化にさらされた結果だろう。旅行サービスは依然10%超の成長を維持しており、インバウンドを含む旅行需要の回復が一巡するまでこの傾向は続くと見るのが自然である。
デジタル系 EC の市場規模|オンラインゲームが最大だが成熟傾向
デジタル系 EC の合計は2兆6,776億円で、前年比1.02%増にとどまる。3分野の中でもっとも成長率が低く、市場全体が成熟段階に入りつつある。
出典:METI 英語版プレスリリース Digital sector 表
オンラインゲームが1兆2,553億円とデジタル系の半分近くを占めるものの、前年比では0.58%の減少に転じた。課金モデルの成熟やユーザー数の頭打ちが背景にあると考えられる。有料動画配信(+3.31%)と有料音楽配信(+5.84%)はサブスクリプション型サービスの普及を背景に堅調である。とはいえ、デジタル系全体の伸びが1.02%にとどまる事実は、この分野が BtoC-EC 全体の成長エンジンではなくなっていることを示す。
BtoB-EC 市場規模と EC 化率
BtoB-EC は514.4兆円で、 BtoC-EC の約20倍の規模を持つ。 EC 化率は43.1%で、前年の40.0%から3.1ポイント上昇した。
514兆円という数字には EDI (電子データ交換)を介した企業間受発注が広く含まれる。消費者が日常的に触れるネットショッピングとは取引の粒度が根本的に異なるため、「 BtoB-EC は BtoC の20倍」という比較はあくまで規模感の参考にとどめるべきである。注目すべきは EC 化率43.1%という水準だろう。企業間取引の4割超がすでにオンラインで処理されており、デジタルシフトは消費者向けより企業間の方がはるかに先行している。
CtoC-EC 市場規模はいくらか
2024年の CtoC-EC 推定市場規模は2兆5,269億円(前年比1.82%増)である。フリマアプリやオークションサイトを含む個人間取引は、急拡大期を過ぎ安定成長の段階にある。
ただし、経済産業省はこの推計値について、実際には BtoB ・ BtoC 取引が含まれる可能性があると注記している。個人として出品する事業者の取引が CtoC 統計に紛れ込むケースがあるためである。 BtoC 市場の26.1兆円と CtoC 市場の2兆5,269億円を単純に合算して「個人が関わる EC 市場は約28.6兆円」とする計算は、重複リスクがあり避けた方がよい。
出典:経済産業省 ニュースリリース、METI 英語版プレスリリース
越境 EC 市場規模|日本・米国・中国の3か国比較
越境 EC の統計を見る際は、「自国の消費者がいくら海外から買ったか」と「自国の事業者がいくら海外へ売ったか」を分けて理解する必要がある。経済産業省は日本・米国・中国の3か国間について、両方の数字を公表している。
各国の消費者による越境 EC 購入額(2024年)
日本の消費者による越境 EC 購入額は4,410億円と、米国・中国に比べて桁が小さい。国内 EC の利便性が高いことが、海外サイトからの購入を抑制している面もあるだろう。
日本事業者からの国別購入額(2024年)
中国消費者による日本事業者からの購入額は2兆6,372億円に達し、前年比8.5%増を記録した。米国消費者からの購入額も1兆5,978億円で同8.0%増である。日本国内の BtoC-EC 市場規模26.1兆円に対して、海外から日本事業者への越境購入額だけで合計4兆円超が存在する。
ここで注意したいのは、越境 EC の購入額は国内 EC 市場規模とは別の指標であるという点である。26.1兆円に越境 EC の金額を加算しても意味のある数字にはならない。越境 EC は「日本事業者の販路としての海外市場」という枠組みで把握するのが適切である。
出典:経済産業省 ニュースリリース、METI 英語版プレスリリース
世界の EC 市場規模と日本の位置づけ
eMarketer の推計によると、2024年の世界 EC 小売市場は約6兆ドル、小売全体に占める EC 比率は20.1%である。2028年には約7.9兆ドルに拡大すると予測されている。
国別に見ると、中国と米国の2か国だけで世界の EC 小売市場の約7割を占める。日本のシェアは約2.8%で、世界有数の市場ではあるものの、上位2か国との差は大きい。
出典:eMarketer 「 Worldwide Retail Ecommerce Forecast 2024」、総務省「令和7年版 情報通信白書」、JETRO 「第3項 世界の EC 市場」
中国の50.5%という圧倒的なシェアを前に、日本の2.8%は小さく映る。ただし、2.8%でも世界4位の規模である。問題はその順位よりも、この数字が国内統計と同じ基準で算出されたものではないという点にある。
日本の EC 市場規模と世界市場規模は単純比較できるか
厳密な市場シェアとしての比較はできない。経済産業省の国内統計と eMarketer 等の世界統計は、対象範囲・推計方法・金額単位のすべてが異なるためである。
出典:経済産業省 調査報告書、eMarketer、JETRO
「日本の BtoC-EC 26.1兆円を為替換算して世界6兆ドルで割れば日本の世界シェアが出る」という計算は、一見すると合理的に思えるかもしれない。しかし、日本の26.1兆円にはサービス系やデジタル系が含まれる一方、 eMarketer の世界統計は主に小売(物販)を対象としている。比較対象のスコープが違う以上、出てきた数字をそのまま「シェア」と呼ぶことはできない。世界統計における日本のシェア約2.8%は、 eMarketer が独自の定義で算出した数値として参照すべきである。
最新資料の確認方法と今後の統計公表スケジュール
経済産業省「電子商取引実態調査」の調査報告書・ニュースリリースは、以下の一覧ページに年度別で掲載されている。
2026年8月時点で確認できる最新の確定値は2024年実績(令和6年度調査、2025年8月26日公表)である。2025年実績の公式統計は公表されていない。例年の公表パターンから推測すると翌年度の夏頃に公表される可能性はあるが、時期や内容を断定できない。新しい年度の調査が公表された場合は、本記事の数値も更新する予定である。
FAQ
2024年の BtoC-EC 市場規模はいくらか
26.1兆円(前年比5.1%増)である。内訳は物販系15兆2,194億円、サービス系8兆2,256億円、デジタル系2兆6,776億円の3分野合計となる。
日本の EC 化率は何%か
物販系 BtoC-EC の EC 化率は9.8%(2024年)、 BtoB-EC の EC 化率は43.1%である。 EC 化率は「 EC 取引金額 ÷ 商取引市場規模 × 100」で算出される指標であり、 BtoC-EC 全体の26.1兆円に対する比率ではない。物販系の商取引市場全体を分母とした数字である。
2025年の EC 市場規模の統計は公表されているか
2026年8月時点で、経済産業省の公式ページ上では2025年実績の統計は確認できない。最新の確定値は2024年実績(令和6年度調査、2025年8月26日公表)である。
EC 化率が最も高い商品カテゴリーは何か
物販系では書籍・映像・音楽ソフトが56.45%で最高である。次いで生活家電・ AV 機器・ PC 等が43.03%、生活雑貨・家具・インテリアが32.58%と続く。書籍系の EC 化率が突出して高いのは、商品のデジタル化との親和性が高く、実物を手に取らずとも購買判断が容易なためである。
越境 EC で中国消費者が日本から購入している金額はいくらか
2024年の中国消費者による日本事業者からの越境 EC 購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)である。米国消費者からの購入額1兆5,978億円と合わせると、日本事業者への越境 EC 需要は合計4兆円を超える。
